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	<title>洋書倶楽部 &#187; ミステリ</title>
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	<description>和書＆洋書の読書感想・書評を掲載中♪</description>
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		<title>［感想］街の灯／北村薫</title>
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		<pubDate>Fri, 28 Jan 2011 10:40:28 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆　「変死事件」「暗号」「同席者の死」と来るのであるから、ミステリであることには間違いない。

けれども「円紫師匠と私シリーズ」同様、謎解きに主眼を置いて読み進めるタイプの作品ではない。作者の作り出す優しい世界に心を泳がせ、はっとするような美しい表現に酔い、そして時として人生のほろ苦さに思いをはせる……。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="cap"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167586045/cbox-22/" target="_blank"><img src="http://ec3.images-amazon.com/images/I/514F98BWRGL._SL160_AA160_.jpg" alt="4167586045" border="0" /></a></div>
<p><img src="http://eigo.crystalbox.jp/img/book-icon.gif" /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4167586045/cbox-22/" target="_blank">街の灯</a><br />
北村 薫 著／文春文庫<br />
<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<div class="re">昭和七年、士族出身の上流家庭・花村家にやってきた女性運転手別宮みつ子。令嬢の英子はサッカレーの『虚栄の市』のヒロインにちなみ、彼女をベッキーさんと呼ぶ。新聞に載った変死事件の謎を解く「虚栄の市」、英子の兄を悩ませる暗号の謎「銀座八丁」、映写会上映中の同席者の死を推理する「街の灯」の三篇を収録。 （文庫裏表紙より）</div>
<hr />
<p><span id="more-370"></span><br />
「変死事件」「暗号」「同席者の死」と来るのであるから、ミステリであることに間違いはない。</p>
<p>けれども「円紫師匠と私シリーズ」同様、謎解きに主眼を置いて読み進めるタイプの作品ではない。作者の作り出す優しい世界に心を泳がせ、はっとするような美しい表現に酔い、そして時として人生のほろ苦さに思いをはせる……。</p>
<p>すべてが美しくて純粋で、だからこそどこか儚なくて、危うくて、両手でそっと包み込んでしまいたいような小説である。</p>
<p>悪意に満ちた人々の登場するミステリや、残酷な表現の多いエンタメ小説に食傷気味の方には、ぜひとも味わってもらいたい上質の作品だ。</p>
<p>ちなみに、この作品は「ベッキーさんシリーズ」としてシリーズ化されており、第3作目の「<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163280804/cbox-22/" target="_blank">鷺と雪 </a>」で第141回直木賞を受賞している。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>［感想］The Thirteenth Tale／Diane Setterfield</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/368</link>
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		<pubDate>Sat, 01 Jan 2011 04:13:08 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［洋書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆　双子の姉妹、その両親、庭師、家政婦、家庭教師……誰も彼もがひと癖もふた癖もある人物ばかりなのに、まるで他人事のように淡々と語って行くヴァイダ。その静謐さと生い立ちの異常さとが相まって、この作品の世界観が圧倒的な勢いでもって読み手の側に伝わって来た。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="cap"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0743298039/cbox-22/" target="_blank"><img src="http://ec2.images-amazon.com/images/I/51ILCS6EtSL._SL160_AA160_.jpg" alt="0743298039" border="0" /></a></div>
<p><img src="http://eigo.crystalbox.jp/img/book-icon.gif" /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0743298039/cbox-22/" target="_blank">The Thirteenth Tale: A Novel </a><br />
ダイアン・セッターフィールド 著／ペーパーバック／432頁<br />
<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<div class="re">古書店で本に埋もれて働く目立たない「わたし」に、一通の手紙が届いた。差出人は、プライベートのすべてが謎に包まれた有名女流作家。手紙は、「わたし」を磁石のようにひきつけて離さなかった。なぜなら、自分についてのすべてを「わたし」に語るというのだ。手紙に導かれた先は、作家が孤独に住まうヨークシャーの屋敷。そこで語られはじめたのは、驚くべき未完の物語だった…。 （「BOOK」データベースより）</div>
<p>［邦訳：<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140055464/cbox-22/" target="_blank">13番目の物語 上 </a>　<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140055472/cbox-22/" target="_blank">下 </a>］<br />
<hr />
<p>父親と一緒に古書店を営むマーガレットの元に、老作家ヴァイダ・ウィンターから自身の伝記を書いて欲しいとの依頼が舞い込む。自伝の執筆も手がけていたマーガレットは、ヴァイダの元に向かい、彼女の口から語られる嘘とも真実ともつかぬ生い立ちを書きとめていく。</p>
<p>双子の姉妹、その両親、庭師、家政婦、家庭教師……誰も彼もがひと癖もふた癖もある人物ばかりなのに、まるで他人事のように淡々と語って行くヴァイダ。その静謐さと生い立ちの異常さとが相まって、この作品の世界観が圧倒的な勢いでもって読み手の側に伝わって来た。</p>
<p>作品の最初から最後までべったりとまとわりついて離れなかった違和感。なるほどこれがラストへの伏線だったのだと今ならわかるが、読んでいる最中は「ひょっとして理解力不足……？」といつもの不安が頭をよぎってしまったことが、今となっては残念でならない。</p>
<p>もしもこれから読もうという人がいたら、どうぞ安心して読んでみて下さい。その違和感は、違和感のままでいいんです。自信をもって下さい。</p>
<p>というわけで、独特の世界観を十分に堪能することのできた本書だけれども、謎が解決して以降のあのページたちは、果たしてどれだけ必要だったのだろう。</p>
<p>ハッピーエンドが大好きな自分ではあるが、あまりにも次から次へと物語がまとめられすぎていて、やや興をそがれてしまった感は否めない。</p>
<p>特にね、最後の最後。<br />
それはさすがにやりすぎだと思うのだけど、どうなのかしらん？</p>
<p>英語の難易度は普通。できれば寒い季節にココアを飲みながら読みたい作品。</p>
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		<title>［感想］The Brutal Art／Jesse Kellerman</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/363</link>
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		<pubDate>Mon, 15 Mar 2010 02:44:30 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［洋書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>
		<category><![CDATA[小説]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆　アパートから失踪した住人（画家）の部屋に残されていた大量のスケッチを引き取ることになった画商のEthan Muller。やがて彼は、迷宮入りとなっている40年前の殺人事件にその画家が関わっている可能性があることを知らされる。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="cap"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0751540285/cbox-22/" target="_blank"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51-gswEv%2BkL._SL160_AA160_.jpg" alt="0751540285" border="0"  /></a></div>
<p><img src="http://eigo.crystalbox.jp/img/book-icon.gif" /><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0751540285/cbox-22/" target="_blank">The Brutal Art</a><br />
Jesse Kellerman 著／ペーパーバック／416頁<br />
<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<div class="re">アパートから失踪した住人（画家）の部屋に残されていた大量のスケッチを引き取ることになった画商のEthan Muller。やがて彼は、迷宮入りとなっている40年前の殺人事件にその画家が関わっている可能性があることを知らされる。</div>
<hr />
<p>Brutal Art というタイトルといい、40年前の連続殺人事件といい、さらには表紙のデザインといい、何やらおどろおどろしい内容を想像していが、ミステリーというよりは、より文芸作品に近い内容だったように思う。</p>
<p>かつて宮部みゆきが「人間の心こそが最大のミステリー」といったようなことを言っていたけれども、それを真似するならば、本書は</p>
<p>人としての存在こそが最大のミステリー</p>
<p>である。</p>
<p>主人公Ethan Mullerは、自身が引き取ったスケッチ作品の作者Victor の行方を捜すべく、様々な角度から作者の足跡をたどる。</p>
<p>Victor とはどんな人物なのか。本当に殺人犯なのか。現在はどこでどうしているのか。そもそもまだ生きているのか。</p>
<p>雲をつかむかのような捜査の中で、次第に浮き彫りにされていくVictor の人となり。</p>
<p>前半は確かにEthan Muller が主人公だったはずなのに、ふと気づけば、終盤は完全にVicor の独壇場。</p>
<p>最後の1ページを読み終えて、Victor のすべてが明らかになった時には、懐かしいような、切ないような、悲しいような、それでいて希望の光が差し込んで来るかのような、不思議な感覚にとらわれた。</p>
<p>ストーリーそのものの中だるみ感は否めないが、全体としては優しいトーンでまとまった良作だったと思う。</p>
<p>ただし、ジェットコースター的展開のベストセラー小説を好む方には、評価の分かれるところかもしれない。（私自身は、緩い展開の作品が好きなので。）</p>
<p>ちなみに、英語はやや難しい。</p>
<p>独特の（文学的な？）言い回しが多く、また単語も見慣れないものがぽつりぽつりと現れるので、私自身の本作の理解度は70パーセント前後というところ。</p>
<p>まったりと、暇にまかせて読書なんてものをしてみるか、と思っている人にはお薦め。</p>
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		</item>
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		<title>［感想］Dog on It／Spencer Quinn</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/356</link>
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		<pubDate>Wed, 11 Nov 2009 23:13:06 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［洋書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★★　犬の視点から描かれた、楽しくて、優しくて、そうして時折じんと心にしみる私立探偵バーニーと愛犬チェットのミステリー小説。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div class="cap"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1416585842/cbox-22/" target="_blank"><img src="http://ec3.images-amazon.com/images/I/51wjSaSwuyL._SL160_.jpg" alt="1416585842" border="0" /></a></div>
<p><img src="http://eigo.crystalbox.jp/img/book-icon.gif" />Dog on It: A Chet and Bernie Mystery<br />
スペンサー・クイン 著／ペーパーバック／305頁<br />
<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★★</span></p>
<div class="re">
<p>私立探偵のBarnie とその相棒である愛犬Chet が、行方不明になった少女の捜索依頼を受ける。自らの意志で家出したのか、それとも誘拐なのか。失踪の真意がつかめぬまま、Barnie と Chet事件に巻き込まれて行く……。犬の視点から描かれた、楽しくて、優しくて、そうして時折じんと心にしみる物語。</p>
</div>
<hr />
<p>チェット（Chet）最高！</p>
<p>とにかくその言葉しか思いつかない作品だ。</p>
<p>チェットの飼い主、というか相棒であるBarnie（バーニー）は、離婚ののち元妻に引き取られた息子と会うのを楽しみにしているさえない私立探偵。さえないと言っても、腕っぷしは強いし、頭も切れる。ただ、お金を稼ぐということにしたたかでないために、どこかパッとしないのだ。</p>
<p>もしもこの物語が、バーニーの視点で描かれていたならば、おそらくはそこら辺にある無数のハードボイルドとあまり変わりのない出来だったのではないかと思う。けれども、犬のチェットの視点で物語を眺めてみると、これが驚くほどに魅力的な世界に一変するのだ。</p>
<p>警察犬学校で学んだチェットは（結局卒業はできていないのだが）ならばとびきり優秀かと言えば、どこかでちょいとずっこけている。</p>
<p>動物としての本能に忠実で、大事な場面でも食べ物のことが頭から離れないし、バーニーが考え事をしている時は、歯の間に挟まった食べかすが気になって仕方がない。プールを見ればザブンと飛び込み、気にいらない人間にはうなり声をあげる。</p>
<p>そんなチェットの視点で描かれた作品が面白くないはずがない。本能に忠実なチェットの姿は、しがらみだらけの人間社会に生きる私たちにはこの上なく痛快だし、相棒のバーニーを心の底から尊敬し、愛する姿には、胸を打たれる。</p>
<p>この作品は、ミステリー作品であるのだから、本来ならば少女失踪事件に目を向けなければいけないのかもしれない。けれと、チェットとバーニーを見ているうちに、少女のことなどすっかり忘れてしまって、とにかく二人……じゃなくて一人と一匹が無事であることばかりを願ってしまう。</p>
<p>もしも作者が少女失踪事件に主眼を置いてこの作品を書いていたのなら、そういった意味では失敗であるのかもしれない。けれど、犬物語として書かれたのならば、作者の狙いは大成功だ。</p>
<p>2010年には続編が出るようなので、この作品がシリーズ物となることをぜひぜひ期待したいところ。</p>
<p>あっ、それから。</p>
<p>犬視点なので、チェットとその他の犬、もしくは動物との会話場面があるのかな？と思ったが、どういうわけか全くなかった。バーニーのことを考えすぎて、チェットは犬語を忘れてしまったのかもしれない（笑）</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>［感想］アヒルと鴨のコインロッカー／伊坂幸太郎</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/274</link>
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		<pubDate>Fri, 23 Jul 2004 22:50:21 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★☆☆
「一緒に本屋を襲わないか」 引っ越してきた途端、悪魔めいた長身の美青年から強盗計画を持ち掛けられた僕。標的は…たった一冊の広辞苑!? 清冽なミステリ。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488464017/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4488464017.09.MZZZZZZZ.jpg" alt="アヒルと鴨のコインロッカー (創元推理文庫)" border="0" width="112" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4488464017/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">アヒルと鴨のコインロッカー</a><br />
伊坂 幸太郎／創元推理文庫　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★☆☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">「一緒に本屋を襲わないか」 引っ越してきた途端、悪魔めいた長身の美青年から強盗計画を持ち掛けられた僕。標的は…たった一冊の広辞苑!? 清冽なミステリ。(C)「MARC」データベース</span><span id="more-274"></span><br />
<hr />
<p style="margin-top: 2em;"></p>
<p>この作品、読もうかどうしようか迷っているのだけれども……。</p>
<p>そう言われたなら「読んだほうがいいよ」と間違いなく答えるだろう。現在と過去が交差する中で物語は綴られていく。細やかに仕掛けられた伏線、後半部分のあっと驚くどんでん返し、一気に収束していく結末部分。どれひとつをとっても、かなりの出来だ。文章そのものも読みやすい。キャラクターたちの個性も際立っている。</p>
<p>だから、読む人が読めばこれはきっと素晴らしい作品なのだ。</p>
<p>けれど、私の評価はやはり★3つ。</p>
<p>好みのタイプの作品ではないのだ。いや、作品の90パーセントは好みなんだけど、残る10パーセントがダメなのだ。</p>
<p>まず、暴力シーンがダメ。<br />
ほんのわずかしか出てこないし、これと言うほどの表現もなされていない。けれど、何の抵抗もできない弱いものをいたぶるかのような、残虐極まりない暴力が、たとえそれを予感させるだけであっても、生理的に非常に嫌なのだ。全くもって受け付けない。</p>
<p>そうして、もうひとつ。ラストがダメなのだ。<br />
今回の作品は、その悲しい結末とは裏腹に、ラストは決して暗くはない。むしろ爽やかに上手くまとめられている印象さえある。けれど、私はそこから、夢や希望や、前向きに生きる勇気のようなものをどうしても感じとることができない。切なさ、ほろ苦さ、やるせなさばかりが心のうちに残ってしまい、何だか辛くて仕方ないのだ。</p>
<p>他の方の書評を見ると、爽やかさがいいとか、本当はハッピーじゃないけれど、でもハッピーエンドな感じがいいとか、そういった感想ばかりが目につく。そうなのか？本当にそうなのか？私の受け取り方が人とは違うのかな、と思いつつも、それでもやはり、心の底に沈みこんだ澱のようなものを、耳掻きでひと混ぜされたかのような、そんな胸苦しさがいまだに私の内にある。</p>
<p>ものすごくいい作品なのに、相性が悪い……。私だけ置いてけぼりをくらったかのようで、ちょっとだけ寂しい。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
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		<title>［感想］オーデュボンの祈り／伊坂幸太郎</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/263</link>
		<comments>http://eigo.crystalbox.jp/archives/263#comments</comments>
		<pubDate>Sat, 17 Jul 2004 07:09:48 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://eigo.crystalbox.jp/archives/263</guid>
		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか？]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101250219/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4101250219.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" オーデュボンの祈り (新潮文庫)" border="0" width="113" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101250219/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"> オーデュボンの祈り</a><br />
伊坂 幸太郎／新潮文庫　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか？ （文庫裏表紙より）</span><span id="more-263"></span><br />
<hr />
<p style="margin-top: 2em;"></p>
<p>惜しい、ひじょーに惜しい！<br />
読み終えた瞬間にそう思った。</p>
<p>物語の舞台、登場人物、彼らを取り巻く様々な状況、そして物語そのものに流れる独得の雰囲気……。どれひとつをとってみても、かなりの傑作となりえる要素を持っていた。事実、読んでいる途中は「この作品には、きっと★5つをつけるに違いない」という確信に近い思いで、本書を読んでいた。</p>
<p>が。</p>
<p>読み終えたときには、★がひとつ減ってしまった（ひとつ減っても★4つ。かなりのものではある）。物語の収束を焦るあまり、後半部分がやや荒削りになってしまったように感じたのだ。デビュー作だから仕方がないのだろうが、この倍のページ数を費やして、もっともっと物語の世界を丁寧に描いてくれたなら、それこそ驚くような傑作に仕上がっていたような気がしてならない。</p>
<p>第5回新潮ミステリークラブ賞を受賞しているので、この作品はやはり「ミステリー」に分類されるのだろうが、謎解きの楽しさよりも、登場人物たちの心の葛藤こそが、この作品の魅力だと思う。喋るカカシや、100年以上外界から断絶されている島など、あまりにも現実離れした設定なのだが、にもかかわらず、主人公の僕（伊藤）の存在が、作品に圧倒的なリアリティを与えている。</p>
<p>現実から5センチほどずれたところで成立している物語。<br />
そんな危うさを秘めた小説が大好きな私にとって、この作品は私の好みにどんぴしゃりだった。</p>
<p>また物語全体に漂う雰囲気も『ホットな村上春樹』もしくは『村上春樹と宮部みゆきを足して２で割ったような感じ』で、心地よいことこの上ない。</p>
<p>「このミステリがすごい！」で評判になった<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101250235/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">重力ピエロ</a>や直木賞候補になった<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062757249/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft">チルドレン</a>など、話題作が目白押しなので、機会があればぜひまた読んでみたい。</p>
<p>こてこてのミステリを求めている人にはちょっとどうかと思うが、ミステリとしての緊迫感とふんわりとした優しさの両方を得たい方にはオススメ。</p>
]]></content:encoded>
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		</item>
		<item>
		<title>［感想］魍魎の匣／京極夏彦</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/259</link>
		<comments>http://eigo.crystalbox.jp/archives/259#comments</comments>
		<pubDate>Fri, 16 Apr 2004 06:59:00 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆
箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物（つきもの）は落とせるのか！？日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062646676/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4062646676.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" 魍魎の匣―文庫版 (講談社文庫)" border="0" width="113" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062646676/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"> 魍魎の匣</a><br />
京極夏彦／角川文庫　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物（つきもの）は落とせるのか！？日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。（文庫裏表紙より）</span><span id="more-259"></span><br />
<hr />
<p style="margin-top: 2em;"></p>
<p>直木賞受賞をきっかけに読んだ<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043620020/cbox-22" target="_blank">巷説百物語</a>（注：受賞作ではありません。）が抜群に面白かったので、勢いにのって読み始めた本作。</p>
<p>京極堂の登場するこのシリーズは、ずいぶんと前に第1作目にあたる<a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062638878/cbox-22" target="_blank">姑獲鳥(うぶめ)の夏</a>を読み、でもって「うぎょぎょ(~_~;)）となった経験あり。もう京極夏彦の作品は2度と読むものか！と思っていたのだけれども、まぁ、人間、時がたてば嫌なことも忘れるもので。</p>
<p>そんなわけで、手にした「魍魎のハコ」だけれども、やっぱり最大の特徴はその長さ。本屋の棚に並んでいるその時から、堂々たる存在感を示している。</p>
<p>こんな分厚い本、読めるかなぁ。</p>
<p>正直、一抹の不安もあった。<br />
けれど、読み始めてみれば何のことはない。物語の長さなど全く感じることなく、次から次へとページを繰ってしまう。これだけの長さでありながら、ストーリーが中だるみをしていないというのがすごい。</p>
<p>妖怪シリーズと言われてはいるようだけれども、中身は純然とした推理小説。</p>
<p>推理小説の中には、読み手に対してすべてのヒントが与えられていなくて、結末を知ったときに不満を覚えるものも数多くあるけれど、この作品は、たぶん、おそらく、すべてのヒントが読者に対して開示されている。</p>
<p>が。<br />
読者が全くもって解決の糸口を見出せないのは、 そのあまりにも奇抜な結末ゆえ。</p>
<p>ひとつひとつ、絡まった糸を解きほぐすかのように語られていく事件の真相は、なるほど確かにそういうこともある……かもしれないなぁ……とは思わされるものの、普通の感覚では到底たちうちできない内容なのだ。</p>
<p>はっきり言ってしまえば、かなり気持ち悪かったりもする(~_~;)</p>
<p>それでも、今まで積み上げられてきた状況から推理すれば、なるほどこうなるしかないかもなぁ、と変に納得させられてしまうあたりが、京極夏彦のすごさなのかもしれない。</p>
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		</item>
		<item>
		<title>［感想］巷説百物語／京極夏彦</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/257</link>
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		<pubDate>Tue, 17 Feb 2004 06:53:42 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆
怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043620020/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4043620020.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" 巷説百物語 (角川文庫)" border="0" width="112" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4043620020/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"> 巷説百物語</a><br />
京極夏彦／角川文庫　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">怪異譚を蒐集するため諸国を巡る戯作者志望の青年・山岡百介は、雨宿りに寄った越後の山小屋で不思議な者たちと出会う。御行姿の男、垢抜けた女、初老の商人、そして、なにやら顔色の悪い僧―。長雨の一夜を、江戸で流行りの百物語で明かすことになったのだが…。闇に葬られる事件の決着を金で請け負う御行一味。その裏世界に、百介は足を踏み入れてゆく。小豆洗い、舞首、柳女―彼らが操るあやかしの姿は、人間の深き業への裁きか、弔いか―。世の理と、人の情がやるせない、物語の奇術師が放つ、妖怪時代小説、シリーズ第一弾。（文庫裏表紙より）</span><span id="more-257"></span><br />
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<p>楽しく読むことができた(^^) 久しぶりに堪能した職人技といったところか。</p>
<p>近頃は、小説の設定の奇抜さとか、書いた人の年齢が若いから云々とか、とかく小説そのものから離れた部分で作品が評価されてしまいがちだけれども、こういう作品に触れると、プロが作った物語は違うなぁ、と思う。 宮部みゆきが大好きで、彼女の時代物もずいぶんと読んだけれども、それよりも京極の描く時代ミステリ（？）である本作のほうが、はるかに面白い。 妖怪・物の怪……といった、誰もが恐れはするけれども多分に好奇心を抱かずにいられない小道具をたくみに配置しつつ、世直し風のストーリーあり、巧みなしかけあり、種明かしあり……と読み手を飽きさせることがない。</p>
<p>読後にふんわりと訪れる爽快感もまた心地よい。<br />
ここで泣かせよう、ここで感動させようというあざとさがないのも、この作品を気に入った理由のひとつである。 続きのシリーズもぜひ読んでみたい。</p>
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		<title>［感想］ぼんくら／宮部みゆき</title>
		<link>http://eigo.crystalbox.jp/archives/265</link>
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		<pubDate>Sat, 09 Aug 2003 07:17:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>
		<category><![CDATA[時代小説]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆
「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」―江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062747510/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4062747510.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" ぼんくら〈上〉 (講談社文庫)" border="0" width="113" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062747510/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"> ぼんくら〈上〉</a><br />
宮部みゆき／講談社文庫　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」―江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。</span><span id="more-265"></span><br />
<hr />
<p style="margin-top: 2em;"></p>
<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062747529/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4062747529.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" ぼんくら〈下〉 (講談社文庫)" border="0" width="113" height="160"></a></div>
<p>連作短編集だとばかり思っていた。</p>
<p>鉄瓶長屋を舞台にした人情物語。住人達ひとりひとりの日常にスポットをあてながら、読者を飽きさせない程度にミステリの味付けをほどこした物語。時間つぶしに読むのに手ごろな長さと内容の物語……。</p>
<p>そんなことを思って読み始めたのだけれども、これがまぁ、何とも良い方向に期待を裏切られた。</p>
<p>連作短編集だとばかり思っていたら、途中から一転。これが長編の、しかもかなり骨太の推理小説だと知ることになる。知った途端、ひとつひとつが独立しているとばかり思っていた長屋の住人たちの騒動が、わっと一箇所に集まって、その勢いのままに読者を物語の中へと引っ張り込む。</p>
<p>その見事な展開といったら、さすが宮部嬢とうなるばかり(~_~;)</p>
<p>ただし、推理部分そのものは、決して出来がいいというほどのものではない。標準のやや上といったところか。すべての謎がとけてもなお、どこかしっくりいかないものが胸の奥にくすぶり続けてしまった。いつもの宮部嬢の、まるで上質の手品を見るかのような鮮やかな物語構成を知っている者としては、あとちょっと！と思わずにはいられないのだ。</p>
<p>それでも、推理部分の弱さ（弱いと言っても、標準以上ではあるのだが）を補ってあまりあるのが、個性豊かな登場人物たち。ひとりひとりが皆生き生きと、しかも力強く描かれている。現在とは遠く隔たった江戸時代の話だというのに、読んでいるうちに、馴染みの生活を垣間見ているかのような、そんな錯覚さえ覚えてしまう。</p>
<p>時代物というと、どうしてもとっつきにくい印象があるのだけれども、宮部みゆきの描く時代物は決してそんなことはない。たまたま舞台が江戸時代だっただけ、たまたまそこが長屋だっただけ、たまたま……、その程度の違いにしか思えなくなって来るのだ。</p>
<p>そうして、いつしか鉄瓶長屋のお徳を、同心の平四郎を、差配人の佐吉を、ページを繰りながら懸命になって応援している自分に気づいた。</p>
<p>爽やかさと、ほんのちょっぴりのほろ苦さとが混じりあったラストにたどり着く頃には、そこで物語が終わってしまうのが本当に惜しくて、そのまま お徳にくっついて行って、もう少し物語の世界にひたっていたいような、そんな気分にさえなっていた。</p>
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		<title>［感想］夏と花火と私の死体／乙一</title>
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		<pubDate>Wed, 30 Jul 2003 06:40:23 +0000</pubDate>
		<dc:creator>yclub</dc:creator>
				<category><![CDATA[書評［和書］]]></category>
		<category><![CDATA[ホラー]]></category>
		<category><![CDATA[ミステリ]]></category>

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		<description><![CDATA[お薦め度：★★★★☆
九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか？　死体をどこへ隠せばいいのか？　恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作。]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<div style="margin: 0px 15px 5px 0px; float: left;"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087471985/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"><img src="http://rcm-images.amazon.com/images/P/4087471985.09.MZZZZZZZ.jpg" alt=" 夏と花火と私の死体 (集英社文庫)" border="0" width="110" height="160"></a></div>
<p><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087471985/cbox-22/ref=nosim" target="_blank" class="ausgangsoft"> 夏と花火と私の死体</a><br />
乙一 (著)／集英社文庫 　<span style="color: rgb(220, 20, 60);">お薦め度：★★★★☆</span></p>
<p><span style="color: rgb(0, 100, 0);">九歳の夏休み、少女は殺された。あまりに無邪気な殺人者によって、あっけなく―。こうして、ひとつの死体をめぐる、幼い兄妹の悪夢のような四日間の冒険が始まった。次々に訪れる危機。彼らは大人たちの追及から逃れることができるのか？　死体をどこへ隠せばいいのか？　恐るべき子供たちを描き、斬新な語り口でホラー界を驚愕させた、早熟な才能・乙一のデビュー作、文庫化なる。（文庫裏表紙より）</span><span id="more-253"></span><br />
<hr />
<p style="margin-top: 2em;"></p>
<p>表題にもなっている「夏と花火と私の死体」で第六回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞した乙一のデビュー作。</p>
<p>乙一という全くもってシンプルな名前のこの作家が、かなりすぐれた作品を書いているらしい……という話はちらほら耳にしていた。けれど、今日まで手が出なかったのは、なんといっても私の苦手な「ホラー」に属する作品であるということからだった。</p>
<p>けれど勇気を出して読んでみると、乙一は確かにすごいと思った。</p>
<p>「夏と花火と……」のラストは、ややインパクトに欠けるような気がしたが、それでも目の前に鮮やかに情景が浮かびあがってくるその描写力といい、読者を引き込んで離さない物語のテンポというか、構成力といい、こりゃあただ者じゃないな、という感じだ。</p>
<p>同時収録の「優子」にしたって、流れるような筆運びの見事なこと。読んでいて、ん？とひっかかる部分、読書のペースが乱されるような部分が全然ないのだ。</p>
<p>まぁ、強いて言うならば。<br />
ラストにどんでん返しを持って来よう、持って来ようと意識するあまりか、最後の最後の詰めがちょっと甘い感じがなくもないが、なんといってもデビュー作（とデビュー間もない時期の作品）でこの完成度なのだから、最近の作品ではどんなことになっているのだろうかと、怖いような楽しみなような(~o~)</p>
<p>ただ願わくば、私の苦手なホラー分野から脱出して、ぜひぜひミステリ畑の作家さんになって欲しいところ。そうしたら、片っ端から作品、買いあさってしまうのだけれども。</p>
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