[感想]Passage/Connie Willis
Passage
コニー・ウィリス 著/ペーパーバック/780頁
お薦め度:★★★★☆
臨死体験とは、死に行く脳細胞が見せる幻影?それとも向こう側からのメッセージなのか。[邦訳:航路、]
とにかく長い。780ページというページ数からしても私の新記録なのだが、ページ自体も隙間なくほぼぎっしりと文字が詰まった状態で、読み終えるのにかなりの時間がかかってしまった。それでも、何とか最後まで読み通すことができたのは、癖のない平易な英文と、読者を裏切る予想外の展開があったからだろう。
科学的な側面から、臨死体験を解明しようとするJoannaとRichard。臨死体験は向こう側からのメッセージだと主張する宿敵ともいえるMandrake、重い心臓病を患っている才気に満ちた少女Maisie……。
さまざまな登場人物たちが、さまざまな思いを抱えて「死」と向き合っている。臨死を科学的に割り切ってしまうことは、死後の世界に一抹の望みを覚えている人々の希望をも打ち砕きかねない。けれども、その仕組みを解明できれば、臨死状態に陥った患者たちを死の淵から救い出すことができるかもしれない。そうした思いの中に、宗教観までもが入り混じり、真実を見出すことは困難を極めていく。
が。
三部構成のこの作品は、第一部の終わり部分で「おっとびっくり」状態の展開を見せ、第二部の終わりにいたっては「えっ、嘘でしょ?!!」と言いたくなるような、予想外の状況が待っている。よもやネタばれの感想を書くわけにも行かないので、はてさて、この作品をどう紹介したらいいのか、実はかなり困っていたりする。
結局のところ
I’ll still die sometime. Everybody dies sooner or later.
という何気ない言葉が、この物語の根底に最初から最後までずっと流れていたもののような気がする。



